今年も早いものでもう9月です。
平地の紅葉はまだ少し先ですが、山は別です。もう今月から紅葉が見れちゃいます。
その中でも特にオススメ、超絶絶景な涸沢カールをご紹介したいと思います。
今回は一眼レフで撮影した写真だけでなく、コンデジで記録程度に撮った写真も使いますので、ブレていたりピントが合っていない写真もあります。あらかじめご了承ください。
涸沢カールとは?
長野県松本市安曇野にある氷河圏谷(カール)です。カールとは氷河の侵食作用によってできた広い椀状の谷のことで、山の斜面をスプーンでえぐったような地形になっています。北アルプスに属し、カールの周りには奥穂高岳、北穂高岳、前穂高岳、涸沢岳があり、特に奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳へアクセスするためのベース地として多くの登山者に利用されています。
国内でも屈指の紅葉スポットとして、毎年登山客で賑わっています。
アクセスと難易度は?
まず上高地へのアクセスですが、通年規制がかかっているマイカーでの乗り入れはできません。あかんだな駐車場(高山方面)、沢渡駐車場(松本方面)に駐車し、ここから出ているシャトルバスで乗り入れるのが一般的です。他にはタクシーでの乗り入れも可能ですが、通行できる時間帯が決まっているので注意が必要です。シャトルバスはどちらの駐車場からでも往復割引適用で2050円/大人1人(2017年4月1日現在)です。
シャトルバス(沢渡駐車場)
・さわんど駐車場〜上高地
片道:¥1,250(小児は半額)
往復:¥2,050(小児¥1,030)
※4名以上で往復利用の場合、団体往復割引が適用
4名¥7,400/5名¥9,250/6名¥11,100/7名¥12,950
シャトルバス(あかんだな駐車場)
・あかんだな駐車場〜上高地
片道:¥1,160(小児は半額)
往復:¥2,050(小児¥1,030)
タクシー
まとまったグループで行く場合、タクシーもオススメです。タクシーは定額制となっています。沢渡の方がお得かもしれませんね。平湯(あかんだな)方面は安房トンネルの通行料金も別に必要なので注意してください。
・沢渡〜上高地
定額:¥4,200
・平湯〜上高地
定額:¥4,500
※安房トンネルの有料通行料金も別途加算
上高地バスターミナルへ到着したら、ここから涸沢まで徒歩となります。片道約15kmの行程ですが、全体的に難易度は高くなく、登山初心者でも通行できるレベルです。
ただ、全行程のコースタイムで約6時間。このコースタイムは休憩時間は一切含まれていないので、最低でも6時間はかかるということです。体力に自信のない人は余分に時間をみておきましょう。
上高地バスターミナルから涸沢までの道中、「明神」、「徳沢」、「横尾」、「本谷橋」と区切ることができるので少し説明しておきます。
※コースタイムは「山と高原地図」を参照にしています
上高地BT〜明神
距離:3.3km
コースタイム:60分
上高地バスターミナルから明神までは平坦な道のりをひたすら歩きます。上高地バスターミナルから少し歩くと、有名な河童橋が見えてきます。そこからの展望も良く、天気が良ければ奥穂高岳をはじめ、西穂高岳やジャンダルムを望むことができます。上高地から明神あたりまでは、一般の観光客も多く訪れているので人は本当に多いです。
河童橋から穂高連峰。河童橋から撮影したので河童橋は写っていませんが、すごい人が左右にいます。ここから西穂高岳、ジャンダルム、奥穂高岳、前穂高岳が綺麗に見えます。
何というか、涸沢カールはまだまだ先なのに、すでに絶景です。
この辺りは登山者以外に一般の観光客もたくさんいます。前に歩いている人達は普段着ですね。この辺りはこんな感じでのんびりとしています。
余談ですが、明神橋を渡ったところに嘉門次小屋があります。ここでは囲炉裏で焼いた岩魚を食べることができます。以前、日帰りで上高地を散策した時に立ち寄ったのですが、これが本当に美味しかった。この時は車で日帰りだったのでお酒は飲めませんでしたが、この岩魚と熱燗があれば最高だろうなーと思いました。興味のある方はぜひ。
明神〜徳沢
距離:3km
コースタイム:60分
明神から徳沢までも平坦な道が続きます。上高地バスターミナルから横尾までは平坦な道が続きますが、樹林帯の雰囲気や梓川のせせらぎを楽しめますし、そして運が良ければ近くにお猿さんが出現するかもしれません。気持ちよく歩けるコースとなっています。
歩きやすい道がひたすら続きます。こんな感じの樹林帯を歩きます。
ここ徳沢園の名物といえばソフトクリーム。徳沢で休憩して、ソフトクリームを食べてエネルギーチャージしている登山者も多いです。
徳沢〜横尾
距離:3.5km
コースタイム:70分
前半戦、最後の区間です。ここもひたすら平坦な道を突き進みます。横尾までの約10kmの道のりはウォーミングアップ的な感じです。
いつかは泊まってみたい横尾山荘。2008年に客室棟の改築が竣工し、より綺麗に快適になりました。外観もお洒落で綺麗。
お風呂もあり入浴も可能(宿泊者のみ)ですが、石鹸、シャンプー類の仕様は禁止です。
この横尾山荘で15kmのうち、およそ10km消化したことになりますが、本当にハードなのはここから先になります。
横尾〜本谷橋
距離:2.8km
コースタイム:60分
ここからが本格的な登山となります。とはいえ、本谷橋まではそれほど急な登りはありません。
出発前に横尾でトイレは済ましておきましょう。横尾から先は涸沢までトイレがありません。
この横尾大橋から先が本格的な登山の始まりです。
横尾大橋に注意書きがありますが、午後2時以降の入山は控えるようにしましょう。
水場もここから先、涸沢までありません。ここで水分補給をし、水も汲んでおきましょう。
横尾大橋を渡り、しばらく歩くと左側に大きな岩山が見えてきます。
これがクライマーの聖地と言われる「屏風岩」です。こんなトコ登るなんて一般ピーポー登山者の自分からすればクレイジーだぜっ!
眺望はバッチリで、屏風岩の迫力を感じながらしばらく登山ができます。
本谷橋〜涸沢
距離:2.4km
コースタイム:120分
最後のチェックポイント本谷橋。
この本谷橋から急登が始まります。ここから一気に標高を稼ぐ区間となります。
梓川の冷たい水で足を冷やして休んでいる登山者もいます。梓川の水は見た目は綺麗ですが、飲用には向いていないので飲まないように注意してください。
横尾の標高が1620m、本谷橋の標高が1780m、そして涸沢が2309mですから、この「本谷橋〜涸沢」区間でいかに登るか分かると思います。
少し乱暴な言い方すると、2.4kmの距離で東京スカイツリーくらいの高さを登ることになります。なかなかハードですね。
私が涸沢に行った時は、3泊4日のテント泊装備(奥穂高岳、涸沢岳にも登る予定だったので、その装備も含む)と撮影機材も背負っていたので、軽く20kgは超えていました。この区間で本当に荷物を捨てたくなるくらい急登が続きました(笑)
そして頑張って登って、
中央少し左に奥穂高岳へ登るルートの一部である「ザイテングラート」が見えてくると、涸沢はもうすぐです。
ここから体感的に長く感じたんですけどね(笑)
涸沢カールに行くための服装と必要な装備
涸沢カールの紅葉が見頃となるのは9月下旬から10月上旬かけてですが、標高が2300mを越えるため朝晩はかなり冷え込みます。天候が悪ければ日中も気温が上がらないので、防寒対策はしっかりとしておきましょう。
あくまで自分自身の経験ですが、その経験を踏まえて簡単に説明したいと思います。
服装以外の装備は小屋泊、テント泊で違ってくるのでテントや寝袋、ストーブなどの説明はここでは省略します。また基本的な登山装備(レインウェアや登山靴、ストックなど)も省きます。
ダウンジャケット/化繊インサレーション
ダウンと化繊インサレーションを同じ項目にしてしまいましたが、この2つは似ているようで似ていなくて、似ていないようで似ています。基本的にダウンや化繊インサレーションは行動着ではなくて、行動していない時に着る「保温着」です。厳密に言えば化繊インサレーションは「行動着」と「保温着」の2つのタイプがあったり、ダウンと化繊インサレーションの長所・短所も各々ありますが、ここでは説明を端折ります。
これらはテントで寝るときや早朝のモルゲンロートを見るとき、夜に星空を見るときなど様々なシチュエーションで重宝します。天気が悪い日中の滞在でも活躍してくれます。
私は悪天候で涸沢カールに滞在していた時もずっとダウンジャケットを着ていました。秋の涸沢カールに行くなら絶対に必要です。
ソフトシェル
ソフトシェルは持っていったものの、私自身は使うことがありませんでした。私が暑さより寒さに強いのでソフトシェルを使うまでには至らなかったということです。この辺りは個人差なので寒さに弱い人は持っていった方が良いと思います。
ダウンジャケットをミドルレイヤーにして上からソフトシェルを着れば早朝のモルゲンロートや夜の星空鑑賞なんかも快適に過ごせます。寒さに弱いけど荷物も増やしたくない!てな人はレインウェアをシェルの代用にしてもいいと思います。
登山パンツ
登山用パンツも人によって違ってくると思います。
私の場合、例えば上高地から涸沢カールにアクセスする時、涸沢カールから奥穂高岳に登る時なんかは短パン+CW-Xで行動し、涸沢カールに滞在する時やテントで就寝する時は長ズボンの登山パンツを履いていました。
しかし、最近は荷物を軽量化するために登る時も就寝する時もずっと同じ長ズボンの登山パンツを履いています。
何度も言うように秋山は冷え込むため、長ズボンは必要です。必ず持っていくようにしましょう。
ヘルメット
小屋泊テント泊問わず、涸沢カールからザイテングラート経由で奥穂高岳、もしくは涸沢カールから北穂高岳などに登る場合はヘルメットは必需品です。また下山時にパノラマコースを使う場合もヘルメットが必要になってきます。
ヘルメットを持っていないけど、奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳に登りたい場合は山小屋でヘルメットをレンタルできるのでそちらを利用するのも良いでしょう。しかし、紅葉時は混雑期です。ヘルメットの数に限りがあるので注意してください。
涸沢ヒュッテ
¥1,000(1山行)
※予約不可。当日受付先着順。
涸沢での宿泊は?
この涸沢カール、日帰りで訪れる強者はほぼいないと思います(多分トレランレベルじゃないと厳しい)。日帰りでも可能ですが、涸沢に滞在できる時間は限られるでしょう。
ほとんどの人が1泊以上の日程を組んでいると思います。
宿泊は小屋泊かテント泊となります。山小屋は涸沢小屋と涸沢ヒュッテがあります。紅葉時期は一番混雑するので、電話予約は忘れずに。
あと、「テント泊装備持っていないけどテント泊してみたい!」ってな人には涸沢ヒュッテがテントやシュラフ等をレンタルしているので利用してみるとよいでしょう。ただし数に限りがあり、電話予約が必須です。今年(2018年)の紅葉時期はもう予約で埋まってしまっています。
簡単に料金をまとめてみました。
※料金変更があるかもしれないので要確認
涸沢小屋
・収容人数:100名
・1泊2食付:¥9,500
・素泊まり:¥6,500
※素泊まりの他に、夕食のみ、朝食のみ等の宿泊も可能。
※連泊割引有り。2泊目1000円割引き、3泊目2000円割引き。
※事前電話予約した場合、1泊目200円割引き。
※小学生、学生生徒、未成年、それぞれ割引有り。
涸沢ヒュッテ
・収容人数:180名
・1泊2食付:¥9,500
・1泊夕食付:¥8,500
・1泊朝食付:¥7,700
・素泊まり:¥6,500
テント泊
・設営数:500張(混雑時にはもっと張られていると思われます)
・幕営料:1泊につき¥1,000/大人1人
※テント場中央にある受付で申し込み(午後2、3時頃~5時頃まで)
受付が午後からですので、先に良さそうな場所にテントを設営して後で受付しても大丈夫です。良い場所はどんどん無くなっていくので、なるべく平坦でトイレや水場などに近い場所、そして眺望が良い所を確保できればベストです。涸沢のテント場はゴツゴツとした岩場ですので、そのままだとテントとが張りにくいです。ただ、前日までにテントを設営した人が整地した跡ってのが結構点在しています。そこを見つけて利用すると整地の手間が省けます。
あと先ほど少し触れましたが、涸沢ヒュッテでテントのレンタルもしています。
・1張:¥8,000
・シュラフ(3シーズン用):¥2,000/泊
・銀マット:¥1,000/泊
※別途、幕営料(1泊につき¥1,000/大人1人)が必要
※要電話予約
山に登る人なら一度はやってみたいテント泊。私は毎回ほぼテント泊で山に行っています。
テント泊のメリットしては、
- 混雑期でも自分のプライベート空間を作ることができる。
- 山をより身近に感じることができる(テントのチャック開けたらすぐに絶景とか)。
- 夜中も星を鑑賞したりと気軽にすぐ外に出られる(周りの人は就寝しているので外に出ても静かにしましょう)。
などが挙げられます。
一方デメリットは、
- 荷物が増える(テント、シュラフ、マットetc)。
- 暑い時は暑いし、寒い時は寒い。また雨風など天候の影響をモロに受ける。特に風。
と、個人的にはこれくらいでしょうか。
この涸沢カールでテント張った時も2日目の夜は大荒れの天気で、あまりの強風でテントのポールが折れるかと思いました。テントの中から手で必死に支えて、あまり睡眠時間を確保できなかったです。
ピーク時には1000張りを越えると言われている涸沢カールのテント村。トイレから戻った時に自分のテントの場所が分からなくなる迷子も発生するそうです(笑)
自分のテントだと分かるように、何か目印を付けておきましょう。
紅葉シーズンは最も混雑します。小屋泊の場合、1枚の布団で2〜3人ということがあります。
涸沢での水と食事は?
水は豊富にあるので無料です。テント泊の人も涸沢ヒュッテにある水場で自由に水を使用することができます。飲用可能です。
食事は基本的に小屋食か自炊です。
また涸沢ヒュッテや涸沢小屋のテラスで軽食を食べることもできます。
涸沢ヒュッテといえば生ビールとおでんが鉄板です。しかもおでん6種と生ビールのセットで¥1,400と山価格としてはなかなか良心的です。
一方、涸沢小屋は生ビールと枝豆セットが有名でしょうか。あとはもつ煮かな?
小屋泊の人は小屋で食事をする人が多いでしょうし、テント泊の人は自炊の人が多いのではないでしょうか。
ただ、テント泊の人でも当日申し込めば小屋で食事ができます。
涸沢小屋
・夕食:¥2,200
・朝食:¥1,200
・弁当:¥1,000
涸沢ヒュッテ
・夕食:¥2,500
・朝食:¥1,500
・弁当:¥1,000
※当日午後4時までに申し込みが必要(事前予約は受け付けていない)
涸沢でのお風呂やトイレは?
もちろんですが、お風呂はありません。
また涸沢は洗剤、石鹸、歯磨き粉の使用は禁止です。
水場でたまにコッヘルを洗って残飯の汁を捨てている人を見かけましたが、それもダメです。
涸沢ヒュッテ・テント泊の人は涸沢ヒュッテのトイレを利用します。トイレは有料(¥100)ですが、小屋泊、テント泊の人はあらかじめ支払った料金に含まれていますので支払う必要はありません。
トイレはカードリッジ式(ヘリコプターで輸送)なので、くれぐれも使用済みのトイレットペーパーを便器に入れないようにしましょう。便器のそばに使用済みの紙を捨てるゴミ箱があるのでそちらへ。ちなみにトイレットペーパーは備えてくれています。これはありがたいです。山小屋の方に感謝感謝です。
涸沢小屋もバイオトイレが設置されています。こちらもチップ制(¥100/回)です。
涸沢カールの絶景
今回3泊4日で奥穂高岳、涸沢岳も含めて周るはずでしたが、悪天候のため涸沢にとどまる事にしました。登っても眺望ゼロだし。。。
天気が良かったのは初日の本谷橋までと最終日だけでした。あとはずっとガズガス、大雨、強風。。。トイレに行くのも一苦労な感じでした(泣)
そんな天気の中でも雨の止み間を狙って撮影したりしていました。
ガスガスでザイテングラートがギリ見えるか見えないかくらいのレベル。でもしっとりと濡れた紅葉も色が映えて綺麗です。天気が悪くても美しいですね。
ちなみに右手前のテントは私のです。
次の日が下山日という夜。あれだけ天気が悪かったのに晴れて星が見えてきました。山の天気って本当によく変わりますね。
翌朝のモルゲンロートにも期待がかかります。翌日は早起き&下山日なので撮影はほどほどにして就寝。
最終日、ついに見ることができたモルゲンロート!朝陽で山肌が赤くなるんですが、本当に赤くなるのはほんの一瞬です。これはまだピーク前。
多分この瞬間が一番赤くなったかな?空も雲一つなく、空と山肌の対比がたまらないです。これを見た時、涙が出そうになりました。
最終日、これを見られたので気持ちよく下山できます。
下山ルートを変えるとさらに絶景が見られる?
下山は登りルートとは違うパノラマコースで下山しました。
パノラマコースは落石・崩落危険箇所、備え付けのロープで登ったり、降ったりする箇所があるルートで中級者以上向けのルートとなっています。
実際通行した感想は確かに危ない場所はありましたが、慎重に行けば問題のないコースでした。ただ、自信のない人は本谷橋〜横尾〜上高地ルートで下山するのが無難です。
このパノラマコース、超絶景ビューポイントがあります。
ここはパノラマコースに入ってすぐに見ることができるポイントです。なので、下山でこのルートを使わなくてもこの景色を見ることが可能です。
涸沢カールが一望できます。奥穂高岳から涸沢岳、そして北穂高岳の稜線が美しい。涸沢槍もめっちゃ尖ってますね。
さらに進むと、屏風のコルに出ます。ここは屏風ノ耳との分岐点です。ここでザックをデポし、屏風ノ耳へ行きます。大体20〜30分で着きます。
そしてこの景色!涸沢カールの地形がよく分かります。涸沢ヒュッテももうあんなに小さい。
反対側に目を向ければ槍ヶ岳もよく見えますし、天気が良ければ富士山も見えます。
まとめ
涸沢に行くまで道のりは長く体力的にも大変ですが、一生に一度は見ておきたい景色です。
そして登った後のビールがなんといっても美味い!これ重要です。
今回は3泊4日で行きましたが、正直まだまだ堪能できていないので時間を作ってまた必ず行きます。きっと何度通ってもその度に違う姿を見せてくれると思います。
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